All about that bug

蠢くウジが開く道

アメリカミズアブ の蛆虫の飼育

アーバンファーマーのススメ

蛆虫を飼育する、など聞くとかなり意味がわからないが、この蛆虫の生態と役割を理解した上で実際に直接その有用性に触れる機会があると以外にスッと受け入れられたするのではないだろうか。


我が家の場合ことの始まりは自分の長期留守中に奥さんが自分なら入れない魚介類の生ゴミを無差別にミミズコンポストのハングリービンに投入した事に始まり、思えばそれは千載一遇の機会となったわけだが、匂いにつられてどこからともなくやって来たメリアブ達が卵を産み付け初夏のいい天気が続くその環境も丁度良かったのか卵はおぞましい数の蛆となり、ミミズたちを完全に押しのけ容器の中に住み着くようになった訳である。


当時留守から帰った自分は奥さんからミミズ箱の様子が何かおかしいとは伝え聞いていたものの、とりあえず見てみようと容器の蓋をおもむろに開けたのだがそこには一面まさに最大サイズのウジがムシャムシャと音を立てて蠢いており、同時に中で羽化した成虫も何匹か勢いよく飛び出して来たためかなりの衝撃を受け、すぐに蓋を閉じ、今のは一体なんだったのか。。。。と呆然としたのを覚えている。

 

しかしその後の調べを通してこの蛆虫と共生することに害はなくむしろ価値を生み出すポテンシャルがあると思えると、オゾマシイ蛆虫という見方が素敵なお友達に180度変わったのは、先入観と偏見が創り得る無意味な障壁がその対象に対する誠実な論理的科学的評価に基づいた(来るべき未来に創造し得る価値に対する)視点の変化によって取り払われる一例かもしれない。

その後試行錯誤しながらも興味は如何に家庭レベルでスマート(衛生的に)にこの蛆を飼育、収穫、資源活用するかという点に移り、飼育環境のあり方、お世話道具から作業手順と色々試行錯誤して今に至っている。

メリアブの飼育目的

そもそもこの蛆を家庭レベルで飼育しようとする人々の動機が一体何に帰するものなのか。

WEB上で見れらる蛆虫ファームの多くは商業的に蛆虫が体内に蓄積するタンパク質、脂肪とその他の栄養を畜産業、養殖魚あるいはペットのエサとして経済的価値に変換するためのものであり、基本的には未活用か廃棄されている有機物の代替処理システムとして、使われず廃棄するために必要な社会コストと温暖化ガスの発生を削減し、その副産物である虫由来のタンパク質と蛆フンを経済的な価値として社会に還元循環させようとするものである。

 

その一方で一市民レベルでは単に家庭からでる生ゴミ処理として活用している方々もいるようである。
しばらくミミズコンポストの利用経験と、見聞きした様々な家庭用生ゴミ処理器的なもののスペックを考えると、スピードとそのほぼ食べ物なら何でもOK的な柔軟性において右に出るものはないと思われる。

なのですでに様々な方法で生ゴミを自家処理して最終的にコンポストとして菜園などに利用していた人たちにとっては一つの選択肢としてすんなり捉えることができたのではないかと思わるし、その上その庭先で鶏や魚を飼っている場合はゴミが直接虫プロテインに変換される、というサイクルを自分で作れる楽しみと家禽、ペットのエサ代節減というメリットが付いてくる。

とはいえ夏の気温でしか運用できないので長期的に利用する場合夏以外にどれだけコストをかけるメリットがあるのか。これは蛆虫を収穫し、いかに資源として活用できるかにかかってくる。

 

何れにしても蛆虫の飼育コストを抑えるためにはいわゆる生ゴミの利用が考ええる訳だが、蛆の排泄物は粒子が細かく食品に含めれる水分量が多いとドロドロとした粘性の高いものになりがちで、うまく蛆の成長段階と蛆数に合わせてエサの分量を適正化し、おが屑などを利用して水分量と換気を管理しないとヘドロ嫌気環境となって悪臭は半端ないし、身動きが取れなくなったウジの成長度合いに大きなバラツキがでる上、ともかく大変面倒なことになる(なりました。。)。

 

要は蛆の数を把握した上で投入する餌の量と質に合わせてオカクズを混ぜるなどして基材の通気性と飼育環境の換気を管理できるか、ということになる。その上で外的環境要因を一定に保ち、安定的に交尾産卵をミズアブ たちがしてくれる最小限の環境を確立する必要がある。

 

基本の前処理

ところで以前は蛆箱に投入するキッチンからでる生ゴミはフードプロセッサーで粉砕してから与えることで処理スピードと排泄物の管理を容易にしていたのだが、爬虫類のエサとして売れ始めてからは蛆虫のパッケージに混入する食品カスを取り除く手間を省きエサ供給量と質の管理を容易にするために(そもそも台所からの生ゴミだけでは足りなくなったのもある)最終的には安いドックフードを蛆虫に与えていた。

 

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ドックフードを与えるのは何かかなり本末転倒で生ゴミの再利用もなくただのペットフード業になってしまうので残念であったが、つぶつぶの乾燥したドッグフードを粉砕して粉にしたものを与えてみると、それは水分量の調節が自由で計量もしやすく、すりおろした生ゴミよりも遥かに扱いが楽だった。

 

メリアブ餌の質の飼育効率に与える影響を実感し、ということは規模によっては生ゴミを処理して蛆フードとして流通させる、なんてことが今後の蛆ベース社会では起きるかも、と思ったら米国はNY州北西部のバッファローで既に試みられていてメリアブの餌として生ゴミを加工する技術は特許取得済みらしい。

じわじわと世界各地でメリアブがそれぞれのアプローチで社会に浸透している模様。

 

世界各地の学校でメリアブを利用した地域プロジェクトも盛んで、ウジの脂肪分を使った石鹸すらあるようで、昔見た映画ファイトクラブでエステで吸引された脂肪を使って高級石鹸を同じエステで賣るというアイディアを思い出した。

patch.com