All about that bug

蠢くウジが開く道

活きアメリカミズアブ の輸入規制

 

そういえば日本の蛆史に残る日、それは2016年10月7日である。
学名Hermetia illucens、和名アメリカミズアブが植物防疫法で定義する「直接又は間接に有用な植物を害する有害動物』ではない、と日本国の農林水産省が判定し、同省のデータベースに輸入規制無し、と記録された日となった。


この判定はあくまでこの虫を輸入することによって有用な植物を害するか否か、という点での判定ということで、ミミズコンポストを乗っ取ったり、汲み取り便所に沸いたりして害虫扱いされる点についてはこれまで通りだが、昨今の世界的な蛆ブームからさらに注目されるようになれば、「有害動物」では無い、とのお墨付きをもらったことでミズアブ専用スプレーを作るほど悪者扱いしなくても良い、という流れになるきっかけにはなるかもしれない。


この歴史的な判定が下されたのが自分の申請があってのことなのか、それともそもそも既に審査をしていたのかは定かではないが、丁寧にメールを頂いたことで日本におけるメリアブという種の扱いに一石を投じた感もあり、記憶に是非留めておきたい。

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ちなみにその後中国のメリアブファームが卵を世界各地に輸出しているとの事を知り(実際問い合わせても返事は来なかったが)ここニュージーランドでもメリアブの卵あるいは幼虫の輸入が可能か調べてみた。

ここでもメリアブが輸入規制無しの昆虫リストに入っておらず、日本と同様に規制解除のための審査が必要となるのだが、申請をすることによって管轄省庁が調査し審査判定を独自にやってくれる日本とは違い、ここは申請者がその判定費用を負担する上に根拠となる資料を自分で取り揃えなければならない、とのこと。

この虫の場合、ここの農業、環境に対する影響云々ではなく、メリアブが今現在NZに既に生息しているのは事実なので、海外からの動植物の輸入を規制する法律ができた当時にすでに国内に生息していた旨を示す文献探しが主との事。

なんだか非常に形式的な話しでこの判定費用が自腹NZ$900、日本円でおよそ7万円ほどか。

とは言え、頑張って輸入規制が省けると当然時間、労力、費用を負担していない皆さん誰でも輸入できることとなり、何で自分が、との思いもあり完全にとん挫、自前でメリアブ飼育し卵を回収すべしと決意する動機にもなったので、無駄な調査ではなかった。

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産卵中のメリアブ