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蠢くウジが開く道

国連生態系回復の10年とアメリカミズアブ

国連エコシステム回復の10年、知らぬ間に始まっていました。

www.decadeonrestoration.org

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メリアブシステムが一体何の役に立つのか調べごとをしているうちに浮かび上がってきたのは、以前の備忘録でも触れたメリアブの本業である土壌分解者としての仕事と地球生態系全体の回復と拡張を目指す世界的な取り組みでした。

地球環境危機が叫ばれて久しくその先にあるかもしれない不安に満ちた世界について現実味を持って日々生活する日など本当に来るのだろうかと感じていたのも今は昔。

この国連生態系回復の10年キャンペーンは、この10年が人類にとって残された最後のチャンスだと謳い『人類史上未曾有の速度で劇的に生物多様性が減少している今日、今まだ残っている自然を保全しようとするだけではもはや不十分であり、より積極的に生態系に働きかけることにより、損失・劣化した生態系を創出・再生し、生態系の有する機能を回復させ、システムのレジリエンスを高めることが必要』としています。

地球環境にまつわる問題は限りがありませんが、そのうちの大きな問題は土壌の劣化にまつわる種の多様性損失でありその回復と拡張となるととりあえず必要なのが多種多様な微生物が生きる土壌だという話になってくるのではないでしょうか。

これまで散見してきた文献やウェブ上の情報は現状とその原因、地球環境に対する影響と土壌回復向けての推奨、勧告、リコメンデーションはしていますが具体的にどうやって土壌の回復をするか多くは語られていません。

そもそも土ってなんだ、っていうことですが土は水(20-30%)、空気(20-30%)、ミネラル質(45%: 砂、シルト、粘土)と土壌有機物(5%: Organic matter)の集合体でその4つの要素の割合や混ざり具合によってまたいろいろ土質学、地質学的な分類がなされるのだと思います。生態系目線だとその混ざり具合がそこに住める微生物や昆虫、生き物に影響し、そしてそれらの生き物がいることで起こる様々な複雑なエネルギー交換が植物群の生育環境を決め、またその植物郡によって支えられている地上の動物の生育環境が決まる、的な理解を最近得ました。日々学ぶことはまだまだある様です。

質の良い土には土壌有機物が不可欠でこれはいわゆる土壌分解者の糞に含まれているのでミミズやらメリアブやらそのほかいわゆる森の落ち葉の下にいる様な多様な微生物を含む生き物の存在が欠かせません。

そんな大事な土壌を育む世界の森林環境保全や気候問題の解決策や取り組みに対しての補助金や投資がこれまでになく増えている様ですが、反面同じ環境を破壊し利益を上げる産業へ補助金はその12倍とも言われ、以前の備忘録でも触れた地球上の残された生態系サービスの破壊と搾取(多くは工業国による安価な原料の調達)によって膨大な利益を生み出す経済の仕組みが根本的に変えられないのであれば、いわゆる生態系の森林や水環境などが本来持っているレジリエンス(自然回復する力)の地球生態系の限界値(プラネタリー・バウンダリー)を超え、壊滅的な状態に達する危険性がある、という話も現実味を帯びてくるのも無理はなさそうです。

 

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大量の資源とエネルギーの消費する都会的な生活は森と土との接点も少なく、そもそも便利な都会生活とそのライフスタイルが何によって支えられ(そして一体なんのためにそんな生活をしているのか)、その代償がどの様に支払われているか知る由もない、というかもはや知らなくていい様に作るのがモダン文明の利器そのものである訳で、我々一般市民にはほぼなす術がないのは確か。

 

そんな地球レベルの生態系保全、回復に向けての流れで工業国を中心に主流化しそうなのは都市機能を生態系目線でアップデートすべき、という考え方です。

地球上の経済活動はほぼ広がり続ける都市部を中心に行われているわけで、この都市という環境そのものに生態系サービス機能を持たすことで都市外に依存している食に関する負担や、生態系について学び、デザインによって生態系回復と拡張に貢献する都市環境を作るべしというが『Regenerative Urbanism』だと勝手に解釈しています。

これまで緑化、や景観設計、的な扱いであったいわゆるグリーンインフラストラクチャーが都市部の隙間にはびこり有機的につながってしっかり空気、水、土づくり、食べ物生産などの生態系サービスを提供するものになる、という考え方。

www.arup.com

同様に世界経済フォーラムはコロンビア政府と協力して世界の都市機関、企業、市民が共に自然生態系を取り入れた都市開発モデルを作り出すためのサポートを目的としてBiodiverCity 2030というイニシアチブを立ち上げています。

www.weforum.org

ということで日々スーパーでプラスチックパッケージに包まれている食べ物をやややるせない気分で買い、消費する我々一般市民、特に気候問題的に厳しそうな未来を生きる若い世代がこの忍び寄る、というか加速度的に迫っていると言われている環境危機について理解し、生態系中心主義的な視点で物事を見て、生態系再生拡張型都市勃興のきっかけをせっせと土を作り、野鳥に餌をやるメリアブシステムが提供できるのではないかと思う今日この頃。

 

そんな趣旨のアイディアをたまたま見つけた循環型経済をデザインするグローバル・アワード”crQlr Awards 2022”に応募してみました。

日々近所で内輪で話しているネタについてのコメントやフィードバックを専門家から審査を通してもらえたら幸い!と思うところです。

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