All about that bug

蠢くウジが開く道

アーバンファームとメリアブの相性

引越したため今では自転車で家から20分かかるのだが、以前住んでいた場所からなら徒歩5分のところに設立1981年のオーガニックコミュニティガーデン: ケルマーナ・ガーデンズ(Kelmarna Gardens、以下KGと略して表記)がある。

www.kelmarnagardens.nz


KGはオーガニックコミュニティガーデンという名の都市農園(アーバンファーム)で、オークランド市が所有する土地をチャリタブルトラスト(公益信託というのでしょうか)が管理する形で運営している。健康的なコミュニティと土壌環境を築き持続可能なフードシステムに関する学びの場を提供する目的でパーマカルチャーに則った有機再生農法(レジェネレティブメソッド)をベースにするフォードフォレスト、野菜畑、養蜂、ミミズファームとコンポスト、地鶏卵、羊放牧の運営となぜかポニーも預かって飼育している。
(以前は牛もいたのだが、十分育ったので地元の肉屋さんに解体してもらって地域の皆さんで美味しく頂きましょう、と企画した所、動物愛護を訴える大反対と炎上に会い、その企画は中止して遠く離れた南島の動物サンクチュアリに送り出す、という出来事もあった。)

thespinoff.co.nz


メリアブ飼育の経験をペット餌としての枠を超えて活用する方法について思案している時に、メール登録していたKGからのお知らせでソイルファクトリー(Soil Factory)なる活動が始まる故にボランティア募集!とのお知らせが入った。

www.soilfactory.co.nz

www.youtube.com


このソイルファクトリーはKGの下で非営利のソーシャルエンタープライズとして立ち上げられ、近隣の住民と飲食店からいわゆる生ゴミを電気自転車で回収し、シンプルな木枠のコンポスト箱で処理してガーデン内の畑で使う土を作る、というもので生ゴミの回収費で運営を賄っている。

電気自転車で回収



ちなみにこのコンポストには「ホットコンポスト」方式。食べ残しのパンなどの炭水化物、野菜、果物や肉類、あらゆる調理した食物などいわゆる窒素源である“グリーン素材”に炭素源“ブラウン素材”である木屑、オカクズ、段ボールなどをよく混ぜ、水分を加えた上でコーヒーの生豆輸入用のジュートバックを被せて数週間寝かせる。


活発な微生物の活動で有機物は60度ほどまで熱くなりながら分解され、2週間に一度切り返して均一な処理を促し一ヶ月ほどで容量は4分の一ほどに減ったところで残渣を取り出しさらに防水シートの下でしばらく寝かしてコンポストが完成する流れである。

冬の寒い日に箱から湯気を出して生ゴミが分解されているのを見るとどうしてもそれを露天風呂かサウナの熱源として使えないか考えてしまうのは私だけでしょうか。
ちなみに生ゴミコンポストから発生する熱をお湯沸かしに使う試みは各所で試されていて、要するにコイル状のプラパイプをあらかじめ生ゴミ木屑ミックスの中に仕込む事で流した水がお湯となって出てくる模様。


このソイルファクトリー、アメリカはテキサスのオースチンで2011年に立ち上げられ、世界各地のコミュニティーに影響を与えたと言われる自転車による生ゴミ回収、コンポスト活動コンポストペダラーズ(Compost Pedallers)がモデルらしい。


とはいえ、なんせここオークランドは坂だらけで市のサポートで購入した電気自転車が生ゴミを乗せた状態で登れなかった坂もあったり、いろいろ試行錯誤繰り返しながら今では70世帯といくつかの飲食店が参加して月に2トンほどの生ゴミをコンポストマネージャーのマディーが一人でボランティアに手伝ってもらいながら処理している。
回収料金は飲食店などからの回収は月々60ドル(120Lバケツ)で商業コンポスト業者による引取価格に(おそらく)近い金額 だが、一般住民(20Lバケツ)は月々35ドルとそのまま気にせず市の一般ゴミ回収に入れてしまえば無料(税金をすでに払っている)であることを考えると決して安くはない(自分での持ち込みは半額)。


オークランドではゴミの焼却はなく、リサイクルされない一般ゴミとして回収されたものは全て埋め立てに送られる。そのため、埋立地に送られた生ゴミの嫌気性腐敗により発生するとされるメタンガスの温暖化に対する影響が頻繁に取り沙汰され、いかに埋立地に送る生ゴミを減らすか、というのは今や環境問題を議論する上でのメイントピックになっているとも言える。
その点において特に物理的な見返り(コンポストを使った畑でとれた野菜など)もなく、大きく宣伝していないにもかかわらず一軒また一軒と参加登録が増えているのはこの取り組みが、埋立地でのメタンガス発生など地域環境問題、地球温暖化に自ら寄与したくない、という社会的課題に対しての個々の意思表示の方法として受け入れる人が増えている、ということだと思われる。


と、前置きは長くなったがこのソイルファクトリーで週一回の生ゴミ回収とコンポスト作りのボランティアをすることにして観察したところ、このソイルファクトリーがメリアブを使ったローカル有機廃棄物利用システム構築の可能性を探る場、またパートナーとしては最適なのではと察するに至った。で相談した所、メリアブもすでに園内で見かけられる上にその働きぶりにも興味があった様で快く受け入れて頂いた。
ということでそれ以来ガーデンの一部スペースを使わせて頂きメリアブの卵回収に始まりそこで何ができるか模索し始めた所。
どう考えても冬場には室内飼育が必要になるのだが、そこも含めていろいろなチャレンジが楽しみである。