市による家庭生ゴミの個別回収
2019年12月5日付けでオークランドカウンシルは2021年の10月から20年間オークランド広域都市部における個別家庭生ゴミ収集と処理業務の委託契約をEcoGasLtdと交わしたと発表した。
EcoGassLtdは事業所と家庭から排出される有機食品廃棄物から嫌気性生物処理によりバイオガスと液肥を製造すると発表。嫌気性生物処理は欧州や北米で確立されている技術であり現在埋め立て地に送られている有機廃棄物を有効活用するための最高の効率とコストパフォーマンスを期待できる解決方法だとしており、自然な形で土壌を豊かにし回収したエネルギーで温室を温め作物を栽培できるとしている。
この技術導入による効果は?
- 週一回の生ゴミ回収で現在埋め立てられている一人当たり35キロの減量が見込まれ、2040年までの達成を目指すオークランドゴミゼロに貢献することが期待されている。
- NZバイオエネジー協会の試算によると埋め立てられている廃棄物を嫌気性生物処理に回す事で最高年間180万トンの気候変動ガスの削減が可能となるそう。
- エコガスが変換する6万トンの事業系と一般食品廃棄物によって1,000世帯以上に再生可能電力を供給できる
- 同じ施設は3,000ヘクタール以上の農場をカバーできる液体バイオ肥料を生産、輸入肥料と人工肥料への依存を減らせるとしている。
オークランド市は広報発表でワールドクラスの画期的な技術、と歓迎しているが、生ゴミや有機廃棄物を有用な地域のコンポストによる土づくりの資源と捉える市民団体はこの公金を投入する産業型施設による嫌気性発酵工程によるゴミのエネルギー転換技術が多くの二酸化炭素を排出すること、地域の土壌の健康に負荷を掛け食の安全に貢献しない上、視点の狭い高額な投資で、埋め立てよりはマシなだけで環境に良いと謳うのはグリーンウォッシュであると批判している。
国際ゴミゼロアライアンスが出している廃棄物の処理方法を選ぶ指標となる廃棄物ヒエラルキーでは(より環境の改善に貢献し、ゴミとして出るものがない?)コンポストがガス転換などの資源回収カテゴリーの方法より優先順位が高いことになっているが、ニュージーランドのゴミ削減法ではコンポストを資源回収を同列で扱っており、そもそもそこに問題があってコンポストの優先順位を上げるための法改定を要求している、とのこと。
なるほど、法律で定めるところの優先順位の高いカテゴリーの廃棄物処理方法の方がより色々優遇される、ということなのだろう。
アメリカミズアブ を使ったシステムの廃棄物ヒエラルキー内での位置づけ、優先順位は?
ミミズコンポストはコンポストカテゴリーに入るのだろうけど、メリアブシステムはより大きい昆虫(動物)の餌として生ゴミを再利用するシステムである、と定義すればトップ3の再利用(REUSE) カテゴリーに入ると言い張ることが可能かも知れない。
特にメリアブシステムはアップサイクルシステム、とよく言われるので少なくとも一般的に価値が下がるリサイクル、ではない、というのもReuseであるとする主張の根拠になるかも知れない。
オーストラリアではGoterraというキャンベラの企業がコンテナを改造したモジュラーなメリアブを使った生ゴミ処理サービスを提供していて、これは事業系でも家庭系でのなんでも良いらしく、出元をトレースできない家庭系生ゴミの産物であるラービーやウジふん(フラス)の安全性について大学と共同で研究中だそう。
ということで、20年間一つの企業にオークランド市から出る生ゴミ全部、預けます、というのは他に選択肢がなかったからというのもあるのだろう。
コンポストでは時間がかかりすぎる、という事でスケーラブルなコミュニティースケールのメリアブ生ゴミシステムをお勧めしているわけだが、一体どんなサイズが適切なのか。
gotteraのコンテナモジュールはご近所モデルとしては大きすぎるように見えるのだが。
ともかく様々な技術が確立され市民にとって選択肢にある、というのは素晴らしいこと
選択肢といえばカルフォルニアでコンポスト埋葬、というのが州によって認められ、文字通り土に戻る、という選択をする事ができるようになったとのこと。
コンポストでは時間がかかりすぎる、という事で埋葬もメリアブにお願いする日が来るかもしれない。。。
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