All about that bug

蠢くウジが開く道

持続可能な副業としての裏庭メリアブファーム

 

我が家のミミズコンポスト容器に湧いたウジがWEB上で散見されるそれだと知って調べ物をしている内に生きたメリアブのウジがフェニックスワームという名で米国で販売されていることを知り、ヒョとすると売れるかもしれん、と裏庭で細々と飼育もどきを始めたのが2016年。

www.phoenixworm.com

 

ウジが自然発生する夏場に収穫、洗浄した蠢くウジをプラスチックコンテナに入れ恐る恐る地元ニュージーランド の大手オンラインオークションサイトTrade Meにペットの生き餌としてアップしたところ最初のロットが数分のうちに売れるというショックを受けたのも懐かしい。

www.trademe.co.nz

 

どうやら多くはないのだろうがここNZにもそこそこの数の爬虫類、特にフトアゴヒゲトカゲのオーナーコミュニティーがあって、このメリアブのウジがメンバー内で貴重な生き餌としてそこそこの知名度を持っていた模様。

それ以降出品するものが毎回完売することが続き、最盛期には奥さんもびっくりの我が家の食費の大部分を補うまでの収入を得るまでになった。

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とは言え羽化と産卵が温暖な時期に限られるため短い夏が終われば寂しくみるみるうちに蛆は減っていき、成虫が産み落とすあの小さな卵の塊がまるで金の卵のように感じられたのは非常に印象深い。

 

常連となっていた買い手の中にはコオロギを養殖しているプロも含まれていて、その後購入してくれた我が家で育った数キロ単位のウジが役にたったのかついに念願のNZ唯一(?)のメリアブ通年飼育体制を確立して自分が売っていた値段の倍以上で営業を開始されたのやや悔しく、どこかで巻き返したいと妄想を続ける今日この頃。

www.inzectdirect.co.nz


メリアブの飼育過程の副産物であるウジの排泄物(英語でFrassと呼ばれている)は肥料あるいは土壌改良材(N – P2O5 – K2O: 3 - 1 - 3 )として活用できる様で、今後大規模飼育技術と副産物も含めた品質保証、餌となる食品副産物の安定供給とさらなる安全性などの問題が解決されると既存の魚粉からの大規模なシフトを可能にする新事業として世界各地で成立していく可能性が高く目が離せない。

 

とすれば規模の大きな事業においてはウジ餌となる食品副産物の安定した量と質が求められ、比較的規模の大きな食品産業と直結した供給システムと生産体制の構築と生産体制が勧められるものと考えられる。

その反面、供給量と質が不確かなローカルの小中の食品ならびに飲食産業、家庭レベルからの食品廃棄物と副産物についてはウジ餌としての量と質に関して管理コストがかなり高くつくと考えられ、利用する際には最低限の前処理(粉砕、含水率調整等)が不可欠と予想される。

何れにしても養殖飼料原料を生産するであろう大規模事業主が小中の食品産業、あるいは家庭から排出される副産物を資源として活用するとは考えにくく、今後ローカルな生ゴミ発生場所近くでの小中規模でのメリアブファームはコミュニティーベースの隙間オーガニック産業として小規模前処理テクノロジーと共にメガメリアブ産業と対立せずに発展する余地があると思われる。

 

となるとどこでどれだけのどのような生ゴミが発生しているか、という情報を把握することが重要となり、排出側にどれだけ簡単にその質と量の情報を測定しアプリを通じて発信してもらえるかがキーとなりそうだ。

ここオークランドでは家庭レベルでの生ゴミ処理を推進するためにコンポスト容器を持っていて近所の生ゴミの処理も受け入れる人と、自分の家から出た有機物を埋め立てに回さず処理てもらいたい人を繋げるサービスもあり(とは言え自分の家の生ゴミをよその家に持っていく気にはなかなかなれない気がするが、生ゴミ処理の地域マッピングが進んでいるのは面白い)、ウジファームがコミュニティー生ゴミリサイクル施設としての性能が確保されればウジの餌は近所の人が持ってきてくれる、という感じにもなってくるかも。

www.sharewaste.org.nz

 

ということでテクノロジーと地元ネットワークによって成り立つコミュニティーメリアブウジファームというのにも未来と希望がありそうだ。